やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
(・・・もう、どうしようもないよ・・・)
私は、心の中であきらめの言葉を吐いた。
ガシャーン!!
その時だった、派手にガラスの砕ける音がした。
神父様の立っている後ろに飾られている十字架の後ろの窓のステンドグラスが、粉々に砕け散り、ひとりの男が派手に飛び込んできた。
あまりの状況に誰一人、声を出すことができない。
ステンドグラスを砕いて入ってきた男は、そのまま、花嫁のレナの手を掴むと、教会の入り口に向って、レナを引っ張って行き、そして、教会の入り口で止まり、振り返り叫んだ。
「大和の物は俺の物、俺の物は俺の物!残念だけど、大和にレナは、やれない。レナは、俺の一番大事なものだから。」
呆然としたままの一同。
唯一、執事だけは、真木ヒナタのところへ向おうとしたが、私が必死の表情で、執事の服のスソを掴んで、いけないようにする。
「小夜さん、離して・・・・・ふぅ・・・まぁ・・・いいでしょう。」
執事は、必死な私の髪を優しく撫でて言った。
「・・・ちょっと待てよ、ヒナタ!レナが誰といたいのか決めるのは、レナ自身のはずだぞ!俺か、ヒナタかレナに選ばせろよ!」
組長も、真木ヒナタに向けて叫ぶ。