やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
サブが、末席に戻ってすぐに、3台の黒塗りのベンツが道の向こうから来るのが見えた。
「皆さん、来ましたよ。」
執事が、小声で声をかける。
「・・・緊張するなぁ~・・・。」
私は、手が震えているのがわかった。
その私の震えている手を後ろから大きな手が優しく覆い隠す。
「小夜さん、大丈夫ですよ。きっとうまくいきます。」
執事が、私を優しい目で見つめる。
「・・・はい。」
私は、執事の手の中で私の手の震えが止まるのがわかった。
執事は、私の手の震えが収まったのに気づき、ゆっくりと手を離す。
そして、私と組長と真木ヒナタだけに聞こえる声で言った。
「さあ、戦いの始まりです。」