やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「ところで、何でそんな火種の残っているところから、縁談が来るんですか?」
私は、不思議そうに執事を見た。
「・・・それが、また面倒な話なんですが、笹山組の先々代の組長の奥様は・・・・華山組の血縁の方なんですよ。」
「先々代の奥様って・・・」
「はい。大和のお祖母さんにあたる方です。」
「・・・・?そのお祖母さんは、まだ、生きていらっしゃるのですか?」
「はい・・・残念ながら。現在は、ご実家の華木組に戻られておいでですが、お元気に生きていらっしゃいます。」
執事の残念ながらという表現が少し気になったが、そのまま、話を進める。
「・・・そのお祖母さんが、何か関係あるんですか?」
「今回のことは、そのお祖母さんが、笹山組の内部での権力を再び取り戻そうとして進めている事だと予想できるのです。」
「・・・断ればいいんじゃないんですか?」
「・・・それが、できれば簡単なんですが、華木組が、今回の縁談を止めない理由のひとつが、断られた時に、戦争のきっかけにできるからですよ。」
「・・・そんな・・・」
私は、信じられないというような表情になる。