やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「残念ながら、それが、やくざの世界です。理由がなければ、戦争を始めることはできませんが、些細な事でも理由があれば、戦争を始めることができます。・・・どっかの大国と同じ論理ですね。」
低く哀しみを含んだ声で執事が言った。
「それじゃ、どうすれば、戦争を止めることができるのですか?」
私は、執事を真剣な眼差しで見つめた。
「それは、相手にも失礼でない縁談の断り方で断ることです。」
「それは?」
「もう、すでに大和には婚約者がいるということにして、相手には平和的に引き下がっていただきます。」
執事は、すまなそうな表情で私を見つめる。
「・・・それで、私が、組長の婚約者になるって訳ですね!」
私は、やっとすべてに納得がいった。