やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「小夜さんには、大変申し訳ないと思いますが、理解していただけませんか?」
執事が、私に深々と頭を下げる。
「頭を上げてください、龍一さん。・・・そういう理由でしたら、私、組長の婚約者になります。・・・だって、私、笹山組のみんな・・・好きですから。戦争なんかして欲しくありません。」
「小夜さん!ありがとうございます。」
執事は、今まで見たことがない様なうれしそうな表情で私の両手を掴み、私の顔に執事の顔を近づけ、目をキラキラとさせてお礼を言った。
「それでは、明日から組長の立派な婚約者として、小夜さんが恥をかかない様に予定を入れておきますね。」
「・・・龍一さん。予定っていうのは?」
「当然、女性としてのたしなみである、茶道、華道をはじめとした、礼儀作法に関することなどもろもろです。」
「・・・茶道・・・華道・・・ですか?」
私は、不安そうな表情に一変する。