やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・安心してください。茶道、華道も小夜さんの不安がないように超一流の先生をお呼びしますし、礼儀作法は、私が、しっかりと仕込んで差し上げます。なにせ、大和への教育でこういうことは慣れていますので。」
執事の目がどこかで見たような不気味な感じで光る。
「・・・・今から断ることは?」
私は、一応、聞いてみた。
「無理です。・・・それよりも1週間しか期間がありませんから、スパルタで仕込みますから、頑張ってくださいね。あ、当然、1週間は、この屋敷に泊り込みです。」
「・・・サブさ~ん・・・」
私は、悲しそうにサブを見る。
「・・・頑張って・・・死なないように・・・」
サブは、一瞬だけ私と目を合わせ、すぐに目を逸らし、小さな声でつぶやいた。
「サブさん、冗談はほどほどにしてくださいよ。礼儀作法で死ぬわけはありません。ましてや、私の小夜さんならば、すぐに覚えられるに決まっています。」
執事は、笑ってサブを見た。
私は、この時の執事の私の小夜さんほど、うれしくなかった言葉はなかった。