やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・あの~・・・なんで、こんなことするんですか?」
歩きながら、私は、執事に聞いてみる。
婚約者としてだけなら、相手に連絡すればいいだけじゃないかと思ったから。
「・・・そうですね。この世界、口だけでは誰も信じないということです。・・・目に見えないと信じてもらえないのです。それで相手が来る1週間後に小夜さんが、組長の婚約者として完璧なところを見せれば、相手もあきらめるという作戦です。」
「・・・私で大丈夫ですかね?」
私は、不安一杯の表情で執事を見る。
執事は、立ち止まると、確信に満ちた目で言い切った。
「私の小夜さんなら、大丈夫です。」
私は、その執事の確信に満ちた目に引き込まれる。
しばしの間、執事と私は、見つめあう。