やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
そして5分後、私は、屋敷の中で迷子になっていた。
「・・・ここ、どこだろ?」
夜になり、屋敷の中の人も少なくなっているから、道を聞きたくても誰にも出会わなかった。
「困ったなぁ~・・・」
しばらく勘で歩いていくと、中庭に面した廊下へと出た。
ふと、前を見ると、中庭に面した廊下に座布団を引いて、誰か座っているのが見えた。
近くまで歩いていくと、それが執事だという事がわかった。
執事は、いつもの執事服とは違い、着物を着ていた。
(・・・龍一さんの着物姿・・・)
思わず足を止めて見入ってしまう私。