やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
確かに執事の言うとおり、雲の少ない夜空に満月が大きく輝いていた。
「うぁ~・・・すごい。」
満月の綺麗さに思わず声を漏らす私。
「小夜さん。少し涼んでいきますか?」
執事が、満月に見とれる私に声をかけてくれる。
「・・・いいんですか?」
「構いませんよ。」
そう言って執事は、執事の座っていた座布団を譲ってくれた。
私は、その座布団の上に座る。
座布団は、執事の熱が残っていて、温かかった。
「それでは、小夜さんにお茶でも持って来ましょう。」
私にそういい残して、執事が屋敷の奥へと歩いていく。
そして、戻ってきた執事の手には、おぼんの中にお茶と柏餅、お酒が入っていた。
執事は、私の隣に座り、私と執事の間に持っていたおぼんを置く。