やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】


確かに執事の言うとおり、雲の少ない夜空に満月が大きく輝いていた。



「うぁ~・・・すごい。」



満月の綺麗さに思わず声を漏らす私。



「小夜さん。少し涼んでいきますか?」



執事が、満月に見とれる私に声をかけてくれる。



「・・・いいんですか?」



「構いませんよ。」



そう言って執事は、執事の座っていた座布団を譲ってくれた。



私は、その座布団の上に座る。



座布団は、執事の熱が残っていて、温かかった。



「それでは、小夜さんにお茶でも持って来ましょう。」



私にそういい残して、執事が屋敷の奥へと歩いていく。



そして、戻ってきた執事の手には、おぼんの中にお茶と柏餅、お酒が入っていた。



執事は、私の隣に座り、私と執事の間に持っていたおぼんを置く。

< 83 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop