やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
私は、5つある柏餅の内、ひとつを手で持ち、そのまま口へと運ぶ。
「・・・・これも、美味しいです~・・・」
私は、うれしくなって執事を見る。
「そうでしょう。」
執事もうれしそうに笑っている。
執事は、お猪口を手に持ち、徳利からお酒を注いで飲んでいた。
執事の方から、お酒の甘い香りが流れてくる。
よく見ると、いつもとは違い、執事の頬がほんの少し赤くなっていた。
満月を見て、それから満月に照らされる中庭を見て、最後の仕上げに、満月に照らされる執事の横顔を見る。
まさに絶景だった。
私は、そんな光景に目を奪われたままで、柏餅をもう一個食べようと手を伸ばす。