やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
(あっ!)
私の柏餅を掴んだ手が誰かに掴まれた。
触れ合う手と手。
私の体温はどんどん上昇していく。
(私の隣にいるのは龍一さんだけ・・・ということは・・・)
私の手を掴んでいる手は、いっこうに私の手を離そうとしない。
私は、思い切って柏餅を掴んでいる手を見る。
するとそこには、私に柏餅を渡すまいと必死に私の手を押さえている真木ヒナタがいた。
「・・・・・何してるんですか?」
「・・・これは、俺の柏餅だ。」
真木ヒナタが、私を睨みつける。
しょうがなく、私は、持っていた柏餅を離し、隣の柏餅に持ちかえる。
しかし、その柏餅も、真木ヒナタが、私に渡さないように私の腕を掴む。