やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・真木さんの柏餅は、隣のでしょ?」
「・・・これも俺の。」
「それじゃ、この隣の柏餅は?」
「俺の。」
「最後のひとつは?」
「俺の。」
「全部じゃないですか!」
思わず叫ぶ私。
その瞬間、真木ヒナタは、残りの4個の柏餅を全部口に詰め込み走り去って行った。
「あ~・・・柏餅が~・・・・」
泣きそうな表情で隣の執事を見る私。
「まったくヒナタさんは、仕方ない人ですね。」
溜息交じりに苦笑いしながら、執事は、立ち上がると、「ちょっと待っててくださいね。」と私に声をかけて屋敷の奥に歩いていった。
そして、執事は、今度はお団子を持って戻ってきた。