やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・あの・・・お話の途中ですいません・・・・やくざの愛人と施設の子供って?」
私は、見つめ合う組長と執事に悪いと思いながらも、話に割り込む。
「言葉の通りですよ。大和は、やくざの愛人の子供で、私は施設で育った子供です。」
「それじゃ、龍一さんのご両親は・・・・。」
「はい。私の両親は、私の記憶の中には存在しません。」
「・・・・すいません。」
私は、自分の何でも聞きたがる節操のなさを後悔して、下を向く。
「なぜ謝るのですか?あくまで、私の遺伝子上の両親の記憶が、私の中には存在しないというだけで、私の中には、私が母親と父親として認識している人は、存在しています。」
「あっ、母親は、俺のかあちゃんだろ?」
組長がうれしそうに執事を見る。
「はい。大和のお母様は、私に母親の温かさを教えてくれました。」
「・・・厳しさもな。」
組長のしかめっ面と言葉に苦笑いを浮かべる執事。