元不良の青春物語
「やあ、キミは確か
綾乃ちゃんでしたね。」
初老の人は微笑を絶やさないまま
話し始めた。
「私はこの高等学校の
教頭を勤めている永岡といいます。」
「あ、こ、こちらこそはじめまして。」
はっとした私は
ゆっくりと礼をする。
「今日はどうしたのかね?」
「はい、入部届けを出しに。」
そういいながら
入部届けを差し出す。
「はい。わかりました。」
教頭先生は入部届けを受け取ると、
ぽんっと、
承認という文字の書かれた
はんこを押した。
「はい。では君は
今日から陸上部の一員です。」
教頭先生は微笑を
より深くしていった。