いつでも逃げられる
一人での下校ももう慣れた。

一応は付き合っている体裁というものもあるので、教室で勇作を待っているふりでもしながら、校内が閑散としてきたのを見計らって席を立つ。

だって、捨てられた、ふられたなんて周囲の人間に思われるのは私のプライドが許さないから。

…下駄箱でローファーに履き替え、校庭を歩いて校門へ。

既に校内にも校庭にも人はまばらな時間帯。

夏の夕暮れ。

私の影だけが、道路に長く伸びる。

…そろそろ限界かもしれない。

いつ別れ話を切り出してやろうか。

私はそんな事を考え始めていた。

私が別れようって言ったら、勇作はどんな顔をするだろうか。

少しは悲しそうな、慌てた顔をするだろうか。

それとも何ともないような平気な顔をして、事も無げに別れ話を了し


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