いつでも逃げられる
誠実。

その二文字が私の頭の中に浮かぶ。

案外不器用なだけで、この男は本当に誠実なのかしら。

ただ他人とのコミュニケーションが下手なだけで、社会的な行動をキチンと学べば、本当に信頼できる男性に…。

「………!」

そこまで考えて、私は軽く首を振る。

危ない危ない。

何考えているの。

ものの見事に男の術中に嵌まっているじゃない!

そう思わせる事こそが男の目的に違いない。

信用なんてしていない。

私が気を許した途端に、この男は本性を現すに違いない。

< 46 / 80 >

この作品をシェア

pagetop