いつでも逃げられる
気を引き締め直し、警戒心を強める。

「……」

やけに男が無口になった。

さっきまであんなに喋っていたのに。

どこかに行ったのだろうか。

この場に一人、私を置いて?

「……」

私を監禁したストーカーだけど、目隠しをされ、両手を拘束されている以上、彼は唯一私が頼れる存在だ。

何も言わずに放置されてしまったら、困る。

「ねぇ…ちょっと…」

小声で呼びかけてみる。

返事がない。

嘘…本当にいないの?

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