いつでも逃げられる
二時間ほどして、食料の買い出しに出ていた男が帰ってくる。

「お待たせ、加奈子ちゃん。いい子にしてたかい?」

「…逃げられないんだから、いい子にしてるしかないでしょ」

私は相変わらずの態度で男に冷たく接する。

それでもめげる事なく、彼もまた甲斐甲斐しく私の世話をする。

リクエスト通りのエビフライ。

この夏の暑い時期は、食べ物が傷みやすい。

毎日のように食料の買い出しに行かなければならないので大変だろう。

…まぁコイツが好きでやってる事だから同情はしないけれど。

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