いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
その間も、
勇人はずっと衣緒李の元に通いつづけていた。
練習を早めに切り上げてでも。
俺は毎日衣緒李の家族の誰かと連絡をとっては、
衣緒李の状態を聞いていた。
『記憶はまだ…』
それだけ聞いては、
また練習に励んだ。
『ランニング10周ーっ』
『『『ぅいっ』』』
いつものように、
ドームをぐるぐる走る。
明日からは、CSだ。
走っていると、俺の隣に
勇人がついて来た。
『あの、越智さん…』
『ん?勇人どうした』
如何にも申し訳ありませんとでもいうような顔をしている。
『あの…俺が言うのも何ですけど、病院…行かないんですか』
…お前だけには、
言われたくない。
『んー、シーズン終わるまではさ、集中しようと思って』
できるだけ平静を装う。
すると、勇人は
さらに目線を落として言った。
『でも、衣緒李…
もう長くないんですよ…』