いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ


『心配するな。お前は、明日しっかり働いてもらうから』


監督の言葉に少しほっとするも、
やっぱり凹む。


ベンチに入る前に、
達樹にメールをしておいた。


『ごめん。
 今日出して貰えなかった。
 明日は出られるみたいだから
 明日こそ頼む。』


俺は急いでベンチに向かった。



『越智さん!』


後ろから声をかけてきたのは
やはり勇人だった。


『おぅ、勇人。昨日病院行ってきた。達樹とも少し話したし、もう心配ねぇよ。ありがとな、今日試合頑張れよ!』


そう言って
俺は勇人に
話す隙を与えなかった。


勇人に、優しくできなかった。


こいつはレギュラーだったから。


どうしていつもこいつだけ。
レギュラーも、衣緒李も。


勇人に非は無いとわかっていても、
苛立ちを抑えられなかった。


試合中もなかなか集中できず、
勇人ばかり睨んでいた。


…悔しいけど、やっぱり上手い。


俺だって。
俺だって、明日こそ…。


歯ぎしりをして、立ち上がった。


試合は勝ったようだ。


もう一勝すれば、とりあえず上がれる。
一位通過と戦える。


明日必ず勝つ。
二位通過してみせる。


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