いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
『はい,どうぞ』
『おじゃましまーす』
『お水持ってくるからね,ちょっと待ってて』
家の中だとよくわかる。
勇人…ものすごく酒臭い!!
『もう,勇人飲み過ぎだよ。はい,お水』
『んぁ…ありがと…』
ちょっとは酔いが抜けるかなぁ…?
『ねぇ,いおー』
『何?』
赤ら顔だけど悲しそうな顔をする勇人。
『さっき…越智さんとぉ…ちゅー…した…?』
見とったんかあぁぁい!!!汗
『いや,あれは,越智さんがふざけてて…』
ぎゅうっ。
勇人があたしを強く抱きしめる。
『は,勇人…?』
『ふざけても,ハプニングでも,なんでもいややぁ…いお…衣緒李は俺だけやよなぁ…?』
勇人,泣いてる…?
『そんなの,当たり前じゃん』
『ホントに,俺にはお前しかおらんねん,やから,やからどこにも行かんで…俺の傍におってほしいねん…衣緒李までいなくなったら,俺……』
衣緒李"まで"…?
までって何…?
同時に,さっきの遠山さんの言葉が蘇る。
"ずっと守ってやってくれな"
勇人…
勇人に何があったの…?
でも今は,そんな疑問も押し殺す。
勇人を元気づけるのが,先。
『あたしだって勇人しかいない。ホントに誰よりも愛してるよ。離れていったりしない。ずっとずっと傍にいるよ』
そう言うと,勇人は声をあげて泣きだしてしまった。
あたしは勇人の頭を撫でながら,ベッドに運んだ。
何をするでもなく,ただ,一緒に眠った。