いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
3.
『衣緒李いいぃ!!おめでとう!!!!!』
勇人の弾けるような笑顔。
『ありがとう!!』
負けじとあたしも笑顔で。
あたしたちの笑顔のワケ。
それは…
あたしのNewアルバムが2月のオリコンチャートで1位になったのだ。
『さすがやなぁ。俺が,いろんな人に売り込みしたおかげやな』
『なに言ってんの,あたしの実力だよぉ』
『あはは,わかってるって。……俺,来シーズンからはさ,入場曲変えるわ。』
『え?何にするの?』
わかってたけど,あえて聞いてみる。
『IOの…【HyT-ハイト-】』
この曲は,あたしが
作詞作曲を手掛けたラブソング。
曲名も,内容も,
もちろん勇人にむけた曲。
『この曲のサビ,めっちゃ好きやねん。「いつ別れるかわからない いつ嫌われるかわからない それでも それでもいいから そのときまでは傍にいさせて」って,共感できる』
『それはあたしの気持ちなんだからね!お互いにおんなじこと思っててどうすんのっ』
あたしは笑って言った。
『えぇやん。お互いにお互いが大好きって証拠なんやし…俺ら,職業上,いつどうなるかわからへんねんで?』
そっか…
そうだ。
今だからこそこうして一緒にいられるけど,勇人がいつ他のチームに移るかわかんないしね。
『とにかく,今度から俺の入場曲はHyTや!!』
『はいはい』
幸せな,今の時間を
一生懸命生きてかなきゃ。