いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ


『じゃぁ俺はとりあえず生。…と,ウーロン笑』


越智さんはちらっとあたしを見る。


『そだ,IOって未成年だっけ。でももう19だろ,20と変わんないじゃん。いいよいいよ,チクんないから今日だけ飲みなっ』


そういって笑う聡志さん。




あぁ……


なんてかっこいいんだ……!!




『じ,じゃぁ,あたしも生でっ』


『衣緒李ちゃん聡志に惚れんなよっ。こいつ結婚してるから』


『おめ余計なこと言うなっ笑』




…なーんだ。
つまんないの。笑





『……ねぇ,衣緒李ちゃん』


『はい?』


いつになく真剣で,悲しい表情の越智さん。


『聞いたよ…勇人のこと…』


『……やっぱり,ですか。越智さん優しいから,あたしのこと心配して今日誘ってくれたんですよね。ありがとうございます』


『そんなんじゃないよ』


…え?


『俺はずっと衣緒李ちゃんと飲みたかった。でも勇人がいたからできなかった。そして今こうやってチャンスが来た。だから誘った。そんだけ』


そう言ってグラスを口に運ぶ越智さん。



……そんな嘘,見え見えだよ。


あたしは少し笑った。



不器用な人,なんだな。





< 39 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop