いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
6.
それから数ヶ月。
『ちょっと,気になることがあるんだけど…』
あんまり話したことのない桜井さんにそういう連絡をもらったのは突然のことだった。
桜井さんは少し強面なところがあるドルフィンズのキャプテンだ。
『気になること…ですか?』
なんだろう。
あんまり関わりのないあたしにわざわざ連絡をくれるってことは,よっぽどのことなのかな。
『ちょっと話したいんだけど,今からって大丈夫かな』
『はい,大丈夫です』
『じゃあ,駅前の喫茶店にきてもらえる?』
『分かりました,すぐ向かいますね』
『うん。じゃ』
淡々とした口調で
電話は終わった。
駅前の喫茶店なら
10分もあればいける。
でも,ホントに何だろう。
急ぎの用事だろうか。
思い当たる節は,何もない。
…とにかく,行って話を聞いてこよう。
あたしはすぐに,歩いて喫茶店に向かった。