いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
プリクラの中で笑っているのは,髪の短い"あたし"だった。
『何これ…』
『それって渡邊さんでしょ?このプリクラ,越智がだいぶ前から大事に持ち歩いてたやつでさ。渡邊さんが,勇人と付き合ってた頃も含めてね。俺が言うことではないかもしれないけど…これってどういうことなの?君のことでチームがゴタゴタすると困るんだよ』
明らかに桜井さんの機嫌が悪くなったこともあり,あたしは焦った。
『違います,あたしじゃない!!あたしは,越智さんとこんなことしてません!!』
違う。
違うよ。
絶対に違う。
あたしは…,
あの頃は絶対に
勇人を裏切ったりなんか
してない。
『じゃあ…これは誰?』
『―っそんなの,あたしに聞かれてもわからないですよ!!』
本当に,あたしじゃない。
あたしじゃないよ…
『…越智,呼ぼうか』
『はい』
桜井さんが越智さんを呼び出した。
たまたま近くにいたらしく,すぐに来てくれた。
『お〜衣緒李ちゃん久しぶりっ。桜井どうしたのー?』
相変わらずテンションの高い越智さん。
『越智,いきなりだけどこれって誰なの?』
桜井さんが低い声で言う。
『っえぇ?!なんでそれお前が持ってんだよっ』
『ロッカーの前に,落ちてた』
『マジか。あーよかった。探したよ』
あたしは痺れをきらした。
『だから越智さん,これって誰なんですか…?!』
越智さんは小さく,悲しそうに言った。
『俺の元カノ。俺も衣緒李ちゃんのこと初めて見たときびっくりしたよ,だって激似なんだもん。名前は,李砂奈(リサナ)っていうんだ』
それを聞いた桜井さんは大きなため息をついた。
『…なんだ他人の空似かよ。似過ぎて誤解しちゃったじゃん。…ごめんね,渡邊さん』
『……李砂奈…』
『衣緒李ちゃん?どした?』
名前を聞いて,ピンときた。
『李砂奈は…
……あたしの双子の妹なんです…』