いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
7.
『弘樹〜聞いてっ』
衣緒李が興奮したように言う。
『どうしたの?』
『勇人に彼女が出来たんだって!!モデルの鈴音(スズネ)ちゃんらしいよ』
その手には週刊誌が握られている。
『へぇ,そうなんだ』
『幸せになるといいね!!』
『うん。……てかさ,今日くらい元カレの話はやめよう?笑』
『あっ…ごめん』
今日は俺達が付き合いはじめて1ヶ月記念日。
『はい,これ。プレゼント』
俺は小さな箱を差し出した。
『えっ?!』
衣緒李が意外そうな顔をしつつも受け取る。
『開けてみて』
『でも…,あたしなんにも用意してないよ?』
『い―の,それ安物だから』
衣緒李の細い指がリボンを解き,箱をあける。
『…っかわいい!!』
俺がプレゼントしたのは細いシルバーの指輪だった。
勇人とのペアリングがはまっていない薬指が,なんだか寂しそうに見えたから。
『ありがとう弘樹!!大事にするねっ』
衣緒李が喜んでくれてよかった。
『で,お返しのチューは?』
わざと意地悪っぽく言ってみる。
『え〜?しょうがないなぁ。目ぇつぶって?』
ちゅっ
唇に柔らかい感触。
やっぱり…すごく愛しい。
『衣緒李,好きだよ』
『あたしも!!』