いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
『どう?似合う?』
衣緒李が早速指輪をはめて,嬉しそうに俺に見せてくる。
『うん,凄く似合うよ』
『ありがと』
『あっそれとさ,これも貰ってくれない?』
俺は紙切れを衣緒李に渡した。
『これって,明日の試合のチケットじゃない』
『見にきてよ,俺ホームラン打つし!笑』
俺だって男だ。
衣緒李に,かっこいいとこ見せたい。
自慢じゃないけど,4番だし笑。
『じゃぁ友達連れて見にいくね!楽しみだなっ』
衣緒李はにっこりと笑った。
『じゃあ,明日に備えて素振りでもしてくるかな。よいしょっ…ん?』
立ち上がった俺のTシャツの裾を衣緒李が握っている。
『…どうしたの?』
『ティーバッティングにしよ,手伝うから』
衣緒李が余りに必死に言うもんだから,俺には断れなかった。
『わかったよ。でも突然どうしたの?いつもは俺の素振りなんか見ててもくれないのに笑』
『違うの,今日はもうちょっと…一緒にいたいの』
畜生。
可愛いこと言いやがる。
『じゃぁボール取ってきて〜』
『はーいっ』
…明日,かっ飛ばさなきゃな。
衣緒李のいる スタンドまで。