いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
『いつ兄―!パパは?』
家に着くなり衣緒李はばかでかい声を張り上げた。
『…うるさい。父さんなら書斎に行ったみたいだよ』
『わかったありがと!行こ,弘樹』
衣緒李に案内され,エレベーターに乗る。
…エレベーター?!
『あの,書斎って…』
『4階だよ。パパ高いとこ好きみたいでね,4階建てなんだ』
高いとこ好きだからって,
4階建ての家を作る
衣緒李のパパ…
想像しただけで固まってしまう。
『そうだ,パパのとこ行く前にお茶しない?美味しい紅茶があるって羽山さんが言ってたから』
『うん,そうしてくれるとありがたいな』
俺の緊張を知ってか知らずか…
とにかくナイス衣緒李。
こうして俺たちは3階のカフェルームへ行った。
普段,客のお偉いさんが軽食を取るために使う部屋らしい。
『ここだよ』
自動ドアの向こうには,こ洒落た雰囲気のカフェがあった。
『衣緒李ちゃん!!』
奥の方から誰かが慌てたようにやってくる。
『美堀さんだ―!!久しぶりっ』
その女性はとても美人で,頭の良さそうな風貌をしていた。
『元気だった?テレビでの活躍,いつも見てたわよ。そちらの方は…ボーイフレンドかしら』
『そうなの,こちら越智弘樹くん。プロ野球選手でお金は持ってるから,あたしとの付き合いは金目当てじゃないから安心して笑』
『越智弘樹です。えっと…』
『馬場美堀です。美堀さん,って呼んでくれたらいいわ。よろしく,弘樹くん』
『そうだ,今から美堀さんも一緒にお茶でもどう?ね,いいよね弘樹?』
『もちろん』
『…そうね,それじゃおじゃまさせて貰おうかしら』
こうして3人で席に着いた。