いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
衣緒李が運んできた紅茶にみんなで口をつける。
『本当に久しぶりね。こんな立派な彼氏まで連れてきちゃって。弘樹君はおいくつなの?』
『23になりました』
『そう,若いのね』
『何言ってんの,美堀さんだってまだ28でしょー?』
28?!
にしてはかなり雰囲気が落ち着いていやしないか…?
『美堀さんはパパの会社の社員で,あたしのことよく可愛がってくれてたんだよ。姉貴分てとこかな』
衣緒李が懐かしそうに言う。
『へぇ,そうなんだ。じゃぁ美堀さんってバリバリのキャリアウーマンですか?』
『そうね,今は仕事が大事かな』
そう言って微笑む美堀さんは,なんだかかっこよかった。
『美堀さんもいつまでも仕事ばっかしてないで結婚しなよっ』
『んー…結婚ねぇ。多分,私の結婚よりも,衣緒李ちゃんの方が早いんじゃないかしら』
『そ,そんなことないよぉ』
衣緒李が真っ赤になって
慌てている。
『でも,二人は結婚するんでしょ。だから,今日挨拶にきたんじゃないの?ねぇ,弘樹くん』
美堀さんが俺に話を振る。
『俺はそのつもりです。いずれ一緒になれたら,と』
俺は真剣に答えた。
『…そう。社長はすごく厳しい方だし,衣緒李ちゃんに目がないから大変かもしれないけど頑張ってね。応援してるわ』
『ありがとうございます,頑張ります』
俺達のそんな会話を横目に,衣緒李は一人で照れていた。
『じゃぁ…弘樹,そろそろパパのとこ行く?』
『おう,心の準備できた』
『美堀さん,あたしたちそろそろ行くね』
『いってらっしゃい。くれぐれも喧嘩しないようにね』
美堀さんに別れを告げ,俺達は部屋をあとにした。