いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ


『あ,弘樹お帰りっ』


これは衣緒李。


それと…


『お疲れ様です,弘樹さん』


そう。


ソファの衣緒李の隣に座っていたのは悠希だった。


『旦那様は頑固だったでしょ?弘樹さん…何て言われたんですか?』


悠希の口元が楽しそうに歪む。


『悠希,お前もしかして全部知って…』


そこまで言った俺の口に悠希は人差し指をあてた。


『あなたが,どこまで健闘してくれるか楽しみです。(……俺と衣緒李は長い付き合いなんだ。みーんな,俺の味方なんだよ)』


最後の方は耳に囁かれた。


正直なところ…


ここまで腹が立ったの,初めてかも。



『衣緒李,来いよ』


そう言って俺は衣緒李の腕を引っ張る。


『ちょっと,痛い痛い!!弘樹待ってよっ』


衣緒李が言うのも無視して,そのまま家の外に出た。


『何なのよ…んっ』


俺は衣緒李を抱きよせ,強引にキスをした。




『……どうしたの?弘樹,パパになんか言われたの?』


『お前を俺とは結婚させたくないって,言われた…』


衣緒李の表情に陰りが見える。


『っそんなのどうでもいいよ!!パパの考えは関係ない。弘樹はあたしと結婚してくれるんだよね…??』


『当たり前だろ!!俺は,お前以外とだったら結婚なんかしないっ』


そう言うと,衣緒李は俺に抱きついてきた。


温もりを確かめるかのように。


『好きだよ,弘樹……ねぇ,もっかいキスして?』



上目使いで請う衣緒李が愛しくて,俺たちは長い長いキスをした。



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