いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
部屋に着いた俺は,すぐに寝ようと思い荷物を整理した。
脱ぎ捨てていた上着もハンガーにかけておかないと,シワになるからな…。
そして俺が上着を手に取ったとき。
ポケットから,
何かが転がり落ちた。
『何だこれ』
見覚えの無い紙切れ。
そこにはこう書かれていた。
【kana-lovesmile@XXX.jp
080-X65X-5XX3
香苗】
『香苗…え?』
そう。
それはあの香苗ちゃんの
連絡先だった。
俺は深く考えずに,すぐさまその番号に電話した。
1コール。
2コール。
時計は11時をまわっていた。
もう遅いし出ないかもな…
3コール。
『もしもし?』
俺の予想は見事に外れ,香苗ちゃんは電話をとった。
『もしもし,あの俺…越智です』
『あっ弘樹さんですか?!…嬉しいっもしかしたら連絡来ないかもって思ってたから』
『いや,あのっ紙…びっくりした』
『ですよね。ごめんなさい。でも,あのまま何事もなく終わっちゃうのが嫌だったんです』
『え…?』
『……なんか,越智さん元気無くないですか』
…!
『なんで,わかるの』
『わかりますよ。何かあったんですか?あたしでよければ話して下さい』
『うん…実はさ……』
俺は香苗ちゃんにモヤモヤを話した。
溜まっていたことを全て。
衣緒李が忙しいから拗ねてたのかもしれないが,
このときの俺は,
本当に軽率だった。