いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
『そうだったんですか…。てか,弘樹さんがそんな大変なときに衣緒李さんは何をしてるんですか』
香苗ちゃんの声が苛立っているのがわかる。
『まぁ,しょうがないよ。衣緒李も仕事だもん』
『だからって…そんな,彼女なのに…』
『いーのいーの。ちょっと,寂しかったりもするけどさ…今日は香苗ちゃんに聞いて貰えただけで気が軽くなったよ。ありがと』
『そんな,とんでもないです。あたしに出来ることがあったらなんでも言って下さいね,話だっていつでも聞きますから』
『ん,ありがとう。じゃあ…おやすみ』
『おやすみなさい』
ここで電話は切れた。
香苗ちゃんて…いい子だなぁ。
明日からも頑張ろうって
そう思えた。
だけど,そう思ったのも
束の間のこと。
次の日の試合で,
俺の名前がナインに
入ることは無かった。