いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ


『ありゃ,もうこんな時間だ』


香苗ちゃんの言葉で時計に目をやると,午後7時を回っていて俺は慌てた。


『ごっめん!!俺のわがままで呼び出しといてこんな時間まで…親怒るでしょ?!』


そんな俺に比べて,香苗ちゃんは冷静だった。


『大丈夫ですよっ。今日は友達のとこに泊まることになってますから。だから今日は,帰らなくていいんです』






……ん?

"帰らなくていい"?



『……それはつまり,泊めてくれってことなのかな?』


『ぴんぽーんっ』


『君は女の子なんだからそんなホイホイ男の家に泊まるなんて言わないのっ』



そう言って
香苗ちゃんの頭を
ぺちっと叩く。


…そういや,
衣緒李を初めて泊めたときは,
やっぱり抵抗があったのか
限々までしぶってたの
バレバレだったなぁ……



『そんなこと言わないでお願いしますよぉ。あたし,泊めてもらうつもりでホテル代持ってきてないんですから〜』


…それに比べて,
この子はなんて
積極的なんだ。



『そんなこと言われちゃうとなぁ…。わかった,でも衣緒李には内緒だよ?』


『はーいっ』


『じゃ,行こ』




なんだか自然な感じで
結局泊めることになった。


心のどこかに
罪悪感を閉じ込めて。




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