いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
『はい,どーぞあがって』
『おじゃましま〜す!わぁ,案外綺麗なんですねっ』
『案外は余計だ案外は』
『あっ!かわいい!!』
香苗ちゃんが食いついたのはサンドロだった。
飼い主たるもの,ペットを褒められるとやっぱり嬉しい。
『かわいいしょ?触っていいよっ』
…とは言ったものの,サンドロは明らかに香苗ちゃんを威嚇していた。
『ウ〜…』
『どうしたのー?あたし怖い??』
『キャン!!キャンキャン!!』
『ごっごめん香苗ちゃん,こいつ初対面の人噛む癖があって危ないから,ごめんね』
俺は無理矢理サンドロを引き離す。
不満そうな顔をする香苗ちゃんを無視して俺は話をそらした。
『それより,先お風呂入ってきなよ。俺晩飯作ってるから』
それを聞いた途端,
笑顔になる香苗ちゃん。
『わかりましたっ!えと,じゃぁ着るものとタオル貸してもらっていいですか』
『あっうん,ちょっと待って』
俺は香苗ちゃんのために
すぐにジャージを用意した。
『ありがとうございます!じゃあいってきますねっ』
『いってらっしゃーい』
このジャージを
かつて衣緒李に貸したことなんて,
俺は忘れたフリをした。