いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
それは,スポーツ新聞の
一面に書かれていた。
【IO 芸能界引退】
……えっ?!
【一般男性との結婚がきっかけ】
俺,聞いてねえよ!!
てか,俺一般男性じゃねえよ!!
プロのスポーツ選手だよ!!
つっこみたいことは
いっぱいあったが,
とりあえず本人に
聞こうと思い,
衣緒李の仕事が終わるのを待った。
待つこと8時間。
『ただいまー』
"お帰り"よりも先に叫んだ。
『衣緒李っ何だよこれ!!!』
新聞を思いっきり
つきつける。
『あれ?言わなかったっけ?』
『聞いてねーよ!!』
『だから,あたしは専業主婦になるの』
さも当たり前かのように
さらりと言う。
『なんで?別に続けてよかったのに』
『言っとくけど,あたしは自分の判断でやめるんだからね?前々から,専業主婦になるのが夢だったの。だからいいの』
そんなこと言って,
辞めたいわけないのに。
俺が人一倍,
食生活の管理が大変なのを
見越していたんだろう。
『ありがとな』
『だから,違うんだって!!笑』
衣緒李,本当にありがとう。
『歌手の道捨てて良かった』
って思えるくらいに,
幸せにしてやるからな。