いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ


ある日の試合が終わり,
ホテルに向かう途中で
ケータイを開く。



『…なんだこれ』


【不在着信:7件】


履歴を見てみると,


達樹
慈樹さん
慈樹さん
非通知
皐樹さん
達樹
慈樹さん



…おかしすぎる。


俺は急いでかけ直した。

皐樹さんに。



『もしもし?あの,着信入ってたんで,どうしたのかなと思って…』


電話の向こうで
淡々と話す皐樹さん。


『はい,はい…えっ?!場所は…わかりました,すぐ行きます』


『越智さん,どうしたんすか?顔真っ青っすよ』


心配そうに俺の顔を
覗きこむ勇人。


『衣緒李が…倒れたって』


『えっ?!マジすか?!?!』


『とにかく俺,病院行ってくるから』


『俺も行きます!!』


『…わかった,タクシー呼ぼう』



大急ぎでタクシーを捕まえ,
病院へ向かう俺達。


沈黙に耐えられなかったのか
勇人が口を開く。


『事故,っすか?』


『いや,買い物帰りに突然倒れたらしい』


『持病とかは』


『俺の知ってる限りでは,無かったはずだ』


『何があったんでしょうね…』


『そんなもん,俺が早く知りてぇよ…』



衣緒李…

お前,


俺が遠征行く前まで
元気だったじゃんか。



一体何があったんだよ…



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