空の声
「まっ、細かいことは気にしないでさぁ、お前その制服って
南中だよな?通り道だから送ってく。」
「わざわざ送りに来てくれたの?」
「一緒に行きたかったから来たっ!」
恥ずかしげもなくにっこりと笑った。
一緒に歩きながら話をする。
「俺、隣の星中だったぁ。」
「会った事あるかもね。」
「かもな!!」

もし、あの時死んでいたら…。
いや、あたしの運命は
死なない運命だったのかもしれない。
最初は死ぬ運命だったとしたら、それを変えてくれたのは
世界でたった一人の、あなたですね。

「着いたな!」
「うん、ありがとう。」
「じゃあまた帰りに来るよ。」
「わざわざありがとっ。ばいばい。」
たけるの優しさを受けることにした。
心配してくれてるんだよね、、ありがとう。
たけるの背中を見送り、歩き出そうとした瞬間。
「愛−!!!!!!!」
後ろからありえないくらいの勢いで飛びつかれ
おもわずよろける。
「ちょっと、美咲重い!」
正体は学校で一番なかのいい友達の美咲。
「見たよ〜。誰あの人!!今まで何百人の男を振ってきた
愛がついに彼氏ですか?!振られた奴等きっとショックで
死んじゃうよ、あぁかわいそうに…。」
話が大きくなってるし…。てゆうか
「彼氏じゃないし、数百人にも告られてません!!」

校舎に向かいながら美咲はまだしつこく聞いてくる。
「だってだって!!あんなにもてても、彼氏作んないで
一緒に帰ろうってだけでも断ってたあの高嶺の花ともいえる愛が男と歩いてたんだよ?!
これ大問題だから!!」
確かに、あたしはいままでどんな男に告白されても
断り続けてきた。
それは好きじゃないからことわっただけ。
当たり前だよね?
一緒に帰るのだって相手に変な期待させるより
最初から断っといた方がいいじゃん。
なんてあたしは思う。
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