空の声
バタン!!
屋上の扉を勢い良くあける。
フェンス側へと早歩きで行く。
「あんた誰?!」
神月空。
そんなのは知っている。
あたしが聞きたいのは、
あの時マンションの屋上にいた事。夢じゃなかったの?!あたしの名前だって知っていた。
「マンションの屋上にいたでしょ!」
空は最初にみんなに見せたようなつまらなさそうな顔をした。
つまらなさそうな顔をしたのに楽しそうな顔をして、そう思うとまたつまらなさそうな顔をして・・・
一体何なんだ!?
「いたよ、それがなに?」だ、だったら・・・
「あたし達って、キ、キス・・・。」
キスした?なんて
普通に聞けるもんじゃない。あたしがおろおろしていると鼻で笑うのが聞こえた。パッと空を見ると顔がすぐ目の前にあった。
「何?またキスしたいの?」
「・・・はっ!?」
正確には、「はっ」なんて発音出来てなかっただろう。あたしが反応する前に唇をふさがれた。
「2回目だね。」
意地悪そうに笑う空。
ぼけ−っとしてあたしは硬直。
「あれ−?固まってる?またしちゃうぞ。」
その言葉で固まっていたあたしのからだが自由をとりもどした。
「何言ってんの!ばか!!」
「いいね、愛。面白い。」面白いとか言われても、、「嬉しくない!!」
「なぁ、今日はここで1日さぼろうぜ。」
「あたし達、一応受験生なんですけど。」
親や先生に言われるとうざったいこの言葉。
こういう時には思ってもないのに都合良く使う。
あたしのそんな言葉も無視であたしの腕を引き、屋上にある小さな小屋へと入る。
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