空の声
「・・・っ!!やめっ」
喋る隙さえ与えない空の激しいキス。
「、、ふぁっ」
やっと離れた唇。わかんない。なんで自分が今こんなに苦しいのか。
「他の子とすればいいじゃん・・・!!」
「本気で言ってる?」
ぱっ、と顔をあげる。
冷たい声、冷たい瞳。
「だって、あたし達付き合ってるわくじゃないじゃっ」
「泣いてるのに?」
あたしが言い切る前に言葉を挟む。
え?
「泣いてる・・・?」
あたしが?あちしの目尻を指でなぞる空。それをあたしに見せる。
濡れてる・・・。

空は、1人ですべてを知ってたから、焦ってたんだよね。残り少ない時間を、精一杯に頑張ってたんだね。
「俺のこと、好き?」
違う、違うんだ。
寂しいから、違うって言ったら空が離れちゃう気がしたから、、また一人になるのが嫌だったから、あたしは・・・。
自分から空に抱きついた。
「わかんないよ、空。空が何を考えてるのか。どうしてキスするのか・・・。」
優しく抱き返す。
「俺は、愛が好きだ。はじめて見たあの日から。」
好きという言葉に反応する。でもあたしは・・・
「別にいーよっ、好きじゃなくてっ。俺の片思い!!」
そう言い、抱き締める腕に力がこもる。
< 29 / 82 >

この作品をシェア

pagetop