空の声
「俺、竹垣さんが好きなんよ!付き合ってるくれへん?」
関西弁だ。
なんて呑気な事を思う。
「あの、あたし」
「あっ、振らんといてほしい!無理なんはわかってるから!だから、友達になってほしいねん!」
必死に訴える。
「それで、徐々に俺を見てほしいねん・・・。」
今までだったら断っていただろう。でもたけるや空と仲良くしてたせいか、別に抵抗は感じなかった。
「うん、友達なろっ。だけど、あなたの事好きになるかはわからないよ?」
男の子の顔がパーッと明るくなった。携帯を出し、連絡先を交換した。
「俺、村上龍哉!龍哉って読んで!」
「龍哉ね、じゃぁあたしは愛でいいからね。」
名前で呼べる事に相当喜んで龍哉は去っていた。屋上から出ようとすると空が立っていた。
「空?!何やってんの?」
鬼のような顔。さっきとは違う怒り。声が出なくなる。早歩きであたしの方へ来て腕をひっぱり小屋の中へと連れていく。
「痛いっ、痛いよ、空!!」
半端じゃないくらいの力。小屋の中に投げられる。勢いがよすぎて尻餅をついた。
「もう!なんなのよ!」
意味のわからない空の行動に怒りあふれるが、目をみると凍ってしまう。見下ろしている空の瞳はどこまでも冷たかった。
空はあたしの上に馬乗りになる。
「俺以外の男と二人で行動してんじゃねぇよ。」
深い深いキスをする。それって・・・
「ただの嫉妬?」
離れた唇を押さえる。空の顔が赤くなる。
「うるせぇよ。」
そしてまたキスをする。
なんでだろう。不思議と抵抗しない自分がいる。
長いキスが終わると、空はあたしの上がらどき、
「教室もどるぞ。」
と手を差し伸べた。あたしは空に手を借り立ち上がった。

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