空の声
みんなは車で迎えに来てもらってるが、あたしの親は共働きで夜遅いから、迎えにこれないのだ。あたしはみんなを見送ってから帰る。
「よっ。」
帰ろうと、足を進めたその時、空が道角から現れた。
「優しい空君かま迎えに来てやったよ。」
マフラーを首に巻かれる。空の優しさに心が暖かくなる。
「ありがとっ。」
「どーいたしましてっ♪」
塾から家までの距離はそう遠くもない。徒歩で15分くらいだ。
寒くて手がかじかむ。せれに気付いた空は
「んっ」
とだけ言って手を差し伸べた。あたしは笑いながら空の手を握る。
「空可愛い♪」
「うっさい、ぼけ!」
二人の声が闇のなかでこだましていた。
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