空の声
前も見ずに廊下を走る。
ドンッ
思いっきり誰かにぶつかったのも気にせず走り続けようとするが、
「愛?!」
ぶつかった相手は龍哉で、腕を捕まれた。
「どないしたんよ?、、とりあえず、人のいないとこ行こか?」
あたしは黙ってうなずく事しか出来なくて、龍哉に手を引かれ、裏階段へと来た。
「とりあえず、涙拭けや?」
自分の袖で涙を拭ってくれる。
「ハンカチとか持ってないからかんにんな。」
龍哉は笑ったあとに真面目な顔になる。
「あたし、空が好きなんだっ。でも、もうすぐいなくなっちゃうって、、」
龍哉は不思議な顔をする。
「空?」
え?
「夏に転校してきた男の子だよ?あたしと仲の良い・・・。」
「神月か!」
やっぱりみんな変だよ、、
「みんな、たまに空を忘れちゃうの。なんで?何なの一体?!」
「落ち着きぃや、愛。それは俺も感じてる。俺もそぉやし、みんなもそうや。あいつの事を忘れてる。」
やめて、聞きたくない!!
「噂も流れとった。見た奴が何人かいてな?神月は幽霊やって。消えるんよ、たまに。」
空は人間だよ・・・。何言ってるの、みんな。おかしいよ、、。
「愛が好きならええやんけ。」
あたしは龍哉の顔を見る。あたしの隣にいる龍哉は笑顔で言ってくれたんだ。
「行ってきぃや。」
あたしは大きくうなずき、屋上へと急ぐ。
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