空の声
〜♪
携帯が鳴る。まさか、と思ったが違った。
「もしもし、、」
『愛?今どこ?待ってても来ないし、空には繋がんないし家にはいないし。どうした?』
「空が、いないの。みんな、忘れちゃってるの。」
もうあたしには力が残っていなかった。
『今どこ?!すぐ行く!!』
「マンションの前。」
わかったとだけ言い電話を切ったたける。少しだけ崩れたマンション。
「いなくなるまでは幸せにしてくれるって言ったのに、嘘だったの?」
寒くて凍えそう。あたしは寒さのあまり、意識を失った。

気付いたときには暖かい布団の中だった。夢を見ているのかもしれない。すっごいあったかいんだ。
「よかった。目覚めて。マンションの中だよ。まだ壊れてない場所。」
一瞬空かと思って期待したが声で違うとわかった。
「たける、あたし空が分からないよ。どうしてみんな空を忘れちゃうの?」
たけるは生唾を飲み、ゆっくりと話しはじめた。
「天は本当は高1だ。だけど、生きていればだ。」
“生きていれば”
それは、空が死んだという事を表していた。
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