空の声
今日はたけるの家に泊まる。
あたしはたけるのベットに寝て、二人は下に寝た。
あたしは寝たフリをして二人の話を聞いていた。
「あの頃みたいで楽しかったよ、天。」
「俺もだよ。」
「今はお前がいなくなっちまうって考えると、悲しいけどいなくなったら泣かなくてすむんだよな。記憶、なくなるをだもんな。」
そうだ、天がいなくなるとあたしたちの記憶からも消えてしまう。みんな、みんな忘れちゃうんだ。
あたしは忘れないって言ったけど、それは不可能な事なんだ。
「俺は、忘れられて悲しいけどな。」
天、それが天の本音だったんだね。あたしにもちゃんと言ってよね…。
「なぁ、たける。愛を頼んだな。」
沈黙の中、あたしの吐息だけが聞こえる。
「たけるならいいかなって思う。お前なら、愛を守れるから。」
たけるは優しいし良い人だよ?でも天以外の人なんて、やだよ…。
「お前じゃないと、愛は幸せにできねぇっつ−のぉ!」
バシバシと天の背中を叩く。
「だから、お前が消えても、ちゃんと見守っててやれ。俺は、愛と付き合ったりとかそういうつもりはない。ただ側にいる。」
「たける・・・。」
「お前が嫉妬深いの知ってんだよ、ばーかっ。」
「ひっく、」
やば、泣いちゃったせいで声でちゃった。起きてるのバレたかな?
たけると天は震える愛の背中を見つめ、哀しげな表情になる。
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