空の声
その後のたけるは元に戻っていた。
「ほら、さっさと寝るぞ!!」
そう言って布団に潜ってしまった。

しばらくたって
たけるの寝息が聞こえてきた。

"周りの奴の事も考えろよ"
その言葉が気になっていた。

「たける-?」
「・・・」
返事がないことを確認して
あたしは話し始める。

「泣いてくれんのかな?あたしのために、みんな。
前はね、何もかもが楽しかった。
3年生になってから、学校の先生も親も塾の先生も
"テスト、成績、高校"って…。
みんなも徐々に受験モードになってる。
置いていかれてる気がして、たまんないんだ。
たまんなく、寂しいんだ…」

誰にも言えなかったこと。
聞こえてはない声だけど、
言えた想い。
なんだか、スッキリしたかも。
そう思い眠りについた。

このとき、自分の話に気をとられて
いつのまにかとまっている
たけるの寝息に気づかなかった…。

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