短編集『手紙』
「いけないいけない。これじゃ中村と変わらない」

どうやら今日はアイツからの手紙は来ていないようだった。部屋に戻って僕は、電気も点けずに自分を戒めた。

「俺の人生はこれから180度転換するんだ。金持ちとしての心得でも考えておくさ」

それから飯も喰わずに暗い部屋で考え事をしていた僕は、いつの間にか眠ってしまったみたいだった。




そして50年が経った。

俺はどうなったかって?

2番目の手紙を過去に送った所で、タイムトラベル法現行違反により、めでたく御用さ。

懲役80年。もう2度と外へは出られないだろうなぁ……。だからアイツからの3通目は来なかったんだよ、はぁぁ。


《おしまい》


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