短編集『手紙』
私は目を疑った。

これは何かの悪戯に違いないと、そう思った。

便箋の二枚目にはこう書いてある。


───────これは避けようの無い宿命であるからして、貴殿には有意義な一ヶ月を暮らして頂きたい。

この世に未練を残して地縛霊となられないように、と施された処置である。

是非とも本懐を遂げて頂きたい。

以上、心して過ごされよ。───────


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