短編集『手紙』
6月8日

恐怖と不安におののき、まんじりともせずに迎えた朝も、時計に目を遣れば既に10時を回っている。

緊張をほぐそうと飲んでいたペットボトルの水はとうに空になっていて、この3時間ばかりは喉の渇きに苛まれていた。

だが水道から毒が混入されることは無い。そんな手段を使うまでも無いのだ。何故なら奴は『人に非ず者』なのだから。


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