短編集『手紙』
「いらっしゃい。あら、またあんた達?」

ママさんが溜め息をつきながら2人を迎えた。

「マタは無いだろ? 俺達だって客なんだから」

「アイスコーヒー1杯で5時間もネバられたら、寧ろこっにすりゃ損害なんですけどね」

「解ったよ。じゃ、いつものと、ピザと……ほれ」

「俺はハンバーガー」

「毎度ありぃ」

2人は飲み物を待つ間ももどかしく、ビリビリと封筒を開けていた。

「コラコラ、散らかさないでよね」

トウは立っているが、どこか艶かしい色気の有るママが小言を挟む。

「ちゃんと捨てておきますっ! 早くアイスコーヒー持ってきてよ」

「はいはい。冷コー2丁!」

カウンターの奥に向かって声を張り上げると、ママは自らグラスを取り出し、準備を始める。


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