短編集『手紙』
「奥に誰が居るっての!」

「冷コーって古っ」

「オイオイ、それより早く見せろよ」

封筒から便箋を取り出し、まじまじと眺める彼。友人は引ったくるように封筒を取って、片目で覗き込んだり、照明に透かしたりしている。

「これって、ストーカー?」

┌───────────────────

│  お初です。

│ 貴方のこと

│ ずっと恋焦がれています。

│ 恋の炎で

│ 身体を焼かれてしまいそう。

│ ああ。

│ クラスメートとかじゃ有りません。

│ 私の胸で甘えて欲しいわ。


│  可奈子×××××


└───────────────────

「名前の後に5つのキスマーク。『アイシテル』のサインってかっ?」

「むむむぅぅ。顔が解らないから、喜んでいいのか気味悪がったらいいのか解らねぇ」


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